Gitブランチ戦略とは?Git FlowとGitHub Flowの違いを初心者向けに解説
Gitのブランチ戦略について初心者向けに解説します。Git FlowとGitHub Flowの違い、それぞれのメリット・デメリット、プロジェクトに合った戦略の選び方を学び、チーム開発を効率化しましょう。
ブランチ戦略とは
ブランチ戦略とは、チーム開発においてブランチをどのように作成・管理・統合するかのルールを定めたものです。明確なルールがないと、誰がどのブランチで何を開発しているかわからなくなり、コンフリクトの増加やリリース作業の混乱を招きます。
代表的なブランチ戦略として「Git Flow」と「GitHub Flow」があります。それぞれ特徴が異なるため、プロジェクトの規模やリリース頻度に応じて適切な戦略を選ぶことが重要です。
代表的なブランチ戦略の比較
まず、主要な2つの戦略を比較します。
| 項目 | Git Flow | GitHub Flow |
|---|---|---|
| 複雑さ | 高い(ブランチが多い) | 低い(シンプル) |
| リリース頻度 | 定期リリース向け | 継続的デプロイ向け |
| 主なブランチ | main, develop, feature, release, hotfix | main, feature |
| 適したプロジェクト | 大規模、バージョン管理が必要 | Webサービス、頻繁なデプロイ |
| 学習コスト | 高い | 低い |
プロジェクトの特性に合わせて選択することが大切です。
Git Flowの詳細
Git Flowは2010年にVincent Driessen氏が提唱した戦略で、明確な役割を持つ複数のブランチを使い分けます。
Git Flowのブランチ構成
Git Flowでは以下の5種類のブランチを使用します。
| ブランチ | 役割 | 派生元 | マージ先 |
|---|---|---|---|
| main | 本番環境のコード | - | - |
| develop | 開発の統合ブランチ | main | release |
| feature/* | 機能開発 | develop | develop |
| release/* | リリース準備 | develop | main, develop |
| hotfix/* | 緊急バグ修正 | main | main, develop |
各ブランチの使い方
mainブランチは本番環境にデプロイされているコードを管理します。直接コミットせず、releaseブランチまたはhotfixブランチからのみマージします。
developブランチは開発の中心となるブランチです。featureブランチからの変更はすべてここに統合されます。
featureブランチは新機能の開発に使用します。
# featureブランチを作成
git checkout develop
git checkout -b feature/user-authentication
# 開発完了後、developにマージ
git checkout develop
git merge --no-ff feature/user-authentication
git branch -d feature/user-authentication
releaseブランチはリリース準備に使用します。バージョン番号の更新やバグ修正のみを行います。
# releaseブランチを作成
git checkout develop
git checkout -b release/1.0.0
# リリース準備完了後
git checkout main
git merge --no-ff release/1.0.0
git tag -a v1.0.0 -m "Version 1.0.0"
git checkout develop
git merge --no-ff release/1.0.0
git branch -d release/1.0.0
hotfixブランチは本番環境の緊急バグ修正に使用します。
# hotfixブランチを作成
git checkout main
git checkout -b hotfix/critical-bug
# 修正完了後
git checkout main
git merge --no-ff hotfix/critical-bug
git tag -a v1.0.1 -m "Hotfix 1.0.1"
git checkout develop
git merge --no-ff hotfix/critical-bug
git branch -d hotfix/critical-bug
Git Flowのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 役割が明確で大規模チームに適する | ブランチが多く複雑 |
| リリースバージョン管理がしやすい | 継続的デプロイには不向き |
| 本番環境の安定性を保ちやすい | 学習コストが高い |
GitHub Flowの詳細
GitHub Flowは、GitHubが提唱するシンプルなブランチ戦略です。mainブランチとfeatureブランチのみを使用し、プルリクエストを中心としたワークフローです。
GitHub Flowのブランチ構成
GitHub Flowは非常にシンプルで、以下の6つのルールに従います。
| ルール | 説明 |
|---|---|
| mainは常にデプロイ可能 | mainブランチは常に本番環境にデプロイできる状態を維持 |
| featureブランチを作成 | 新しい作業は必ずmainからブランチを切る |
| 定期的にプッシュ | ローカルの変更は定期的にリモートにプッシュ |
| プルリクエストを作成 | マージ前に必ずプルリクエストを作成しレビューを受ける |
| レビュー後にマージ | 承認されたらmainにマージ |
| マージ後すぐにデプロイ | mainへのマージ後、すぐに本番環境へデプロイ |
GitHub Flowの実践手順
# 1. mainブランチから新しいブランチを作成
git checkout main
git pull origin main
git checkout -b feature/add-search
# 2. 開発作業を行いコミット
git add .
git commit -m "検索機能を追加"
# 3. リモートにプッシュ
git push -u origin feature/add-search
# 4. GitHubでプルリクエストを作成
# 5. レビューを受けて承認後、mainにマージ
# 6. ローカルを更新
git checkout main
git pull origin main
git branch -d feature/add-search
GitHub Flowのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| シンプルで理解しやすい | 複雑なリリース管理には不向き |
| 継続的デプロイに最適 | バージョン管理が曖昧になりやすい |
| プルリクエストでコードレビューが自然に行われる | 本番環境の安定性はCI/CDに依存 |
プロジェクトに合った戦略の選び方
どの戦略を選ぶべきかは、プロジェクトの特性によって異なります。
以下の基準を参考に選択してください。
| 条件 | 推奨戦略 |
|---|---|
| Webサービスで頻繁にデプロイ | GitHub Flow |
| モバイルアプリでバージョン管理が必要 | Git Flow |
| 小規模チーム(1〜5人) | GitHub Flow |
| 大規模チームで複数機能を並行開発 | Git Flow |
| オープンソースプロジェクト | GitHub Flow |
| 複数バージョンを同時サポート | Git Flow |
迷った場合は、まずシンプルなGitHub Flowから始めることをおすすめします。必要に応じて後からルールを追加できます。
初心者が混乱しやすいポイント
「戦略」は絶対的なルールではない
Git FlowやGitHub Flowは、あくまで指針です。プロジェクトに合わせてカスタマイズして構いません。たとえば、GitHub Flowをベースにしつつ、リリース時だけreleaseブランチを使うといった運用も可能です。
ブランチ名の命名規則
どの戦略を採用しても、ブランチ名の命名規則を統一することが重要です。
| パターン | 例 |
|---|---|
| feature/機能名 | feature/user-login |
| fix/バグ内容 | fix/header-layout |
| hotfix/緊急修正内容 | hotfix/security-patch |
| release/バージョン | release/1.2.0 |
チーム内で命名規則を決めておくと、ブランチの目的がひと目でわかります。
mainへの直接コミットは避ける
どの戦略でも、mainブランチへの直接コミットは避けるべきです。必ずfeatureブランチを作成し、プルリクエストを経由してマージしましょう。これにより、コードレビューの機会が生まれ、問題のあるコードが本番に混入するリスクを減らせます。
GitHubではmainブランチを保護し、直接プッシュを禁止する設定が可能です。
--no-ffオプションの意味
Git Flowでは--no-ff(no fast-forward)オプションを使ってマージすることが推奨されています。
git merge --no-ff feature/login
このオプションを使うと、fast-forwardが可能な場合でも必ずマージコミットが作成されます。これにより、どのブランチからマージされたかの履歴が残り、後から追跡しやすくなります。詳しくはGitのマージとリベースの違いを参照してください。
まとめ
ブランチ戦略は、チーム開発でブランチを効率的に管理するためのルールです。
| 戦略 | 特徴 | 適したケース |
|---|---|---|
| Git Flow | 複数ブランチで役割分担 | 定期リリース、バージョン管理が必要 |
| GitHub Flow | シンプルでプルリクエスト中心 | 継続的デプロイ、小〜中規模チーム |
- Git Flowは複雑だが、大規模プロジェクトやバージョン管理に適している
- GitHub Flowはシンプルで、Webサービスの継続的デプロイに最適
- どの戦略でもmainへの直接コミットは避け、プルリクエストを活用する
最初はGitHub Flowのようなシンプルな戦略から始め、プロジェクトの成長に合わせてルールを追加していくアプローチがおすすめです。チーム全員が理解し、実践できる戦略を選ぶことが、スムーズな開発の鍵となります。
編集部